~早めの治療こそ復帰への第一歩
オスグッド・シュラッター病とジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)
私の様な昭和世代にとっては、自分の子供時代には「オスグッド」や「ジャンパー膝」という病名にはほとんどなじみがありません。
今の子供達の体に、昔と違った食生活や取り巻く環境の影響が出てきているのか、またはスポーツにおける環境の変化が出てきているのでしょうか。
理由の一つにはスポーツの種類によるトレーニングの専門性があると思います。練習内容の変化、スポーツ医科学の進歩によって身体の特定の部分に特化したトレーニング、また親のスポーツへの参加によって子に対しての過度の期待等が、子の負担となっている例もあります。
また昭和の時代にはスポーツを専門に診る医療機関が一般にはほとんどなく、平成の時代に入っても東京の中心部においてすら整形外科病院の数は少なく、皆ケガをすると外科に行くのが普通でした。現在のように「スポーツ障害」を専門に診る医療機関が無かったというのも「オスグッド」や「ジャンパー膝」があまり知られていなかった要因でしょう。
また昭和世代は科学的トレーニングとは程遠い「根性論」が主流で、大きなケガをしない限りは痛みで病院にかかるといったことが無かったことも一因だと思います。
軽症 | ・朝起きた時に痛むが、すぐに治まる。 ・スポーツ中は痛くないが、終わった後痛む |
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中等症 | ・スポーツ中痛みはあるが、支障はない。 ・終わった後痛みが強くなる ・日常生活でも痛むが、支障はない。 |
重症 | ・スポーツ中痛みで思い切ってプレーが出来ない。 ・終わった後、痛みが強い。 ・日常生活でも痛く、生活に支障がある。 |
オスグッドにしてもジャンパー膝にしても、まず治療の基本は「セルフ・ケア」です。
スポーツが終わったら自分で痛む部分をまずは冷やしましょう。
甲子園の高校野球を見ていると、ピッチャーは皆試合後のテレビインタビューの際、肩をがっちり氷で冷やしている映像を目にします。高校野球や大学野球、プロの野球選手は必ず氷で冷やしていますが(アイシング)、しかし本当はもっと小さい小学校や中学校の選手こそ冷やす習慣を身につけなくてはなりません。
小さいうちからアイシングの癖をしっかりつけなくてはならないのです。
確かに私の周囲でも、きちんとアイシングのできているチームは強豪校が多いです。
しかしながら、公共の体育館など、アイシングの氷を一番必要とされているところで、専用の製氷機が置いていない、という現実があります。
家庭用の冷蔵庫の製氷室の氷では温度が低すぎて凍傷を起こす危険があります。専用の製氷機の設置が望まれます。
アイシングの後は、大腿のストレッチをしてください。
当院では大腿の前面、「大腿四頭筋」を触診します。ほとんどの子はここが硬く張った状態です。大腿の前面の大腿四頭筋はもちろんのこと、裏側の大腿二頭筋(ハムストリングス屈筋群)を入念にストレッチしてください。ストレッチによって大腿筋群の柔軟性が増して、骨にかかる引っ張りの力がやわらげられます。
以上自分自身で行うセルフケアの後は、いよいよ当院での電気治療です。